レディメイドの発明は、「リアリティ」の発明であるように思う。つまりそれは、世界を描写してある映像をつくることではなく、リアリティこそが唯一重要なことがらなのだという、決定的な発見なのである。それ以来、絵画とはもはや現実を描写するものではなく、現実(自分自身をつくりだす現実)そのものとなった。そしていつか時がくれば、その現実も否定されて、もっとすばらしい世界の映像を(あいもかわらず)つくりだすことが再び問題となるだろう。(ゲルハルト・リヒター)
抽象も具象も描いて行きたい。願わくば、リヒターの予言に適うようなものを。
引用は『増補版 ゲルハルト・リヒター 写真論/絵画論』(淡交社)より、リヒター1990年5月30日のノート。