絵画について語ることに意味はない。言語でなにかを伝達することによって、人はそのなにかを変化させてしまう。語られうる性質のほうをでっちあげて、語られえないそれをないがしろにする。でも語られえないものこそ、つねにもっとも重要なのだ。
ポルケ曰く、「描くという行為にはなにかあるにちがいないぞ、だって、たいていの狂人はなにもいわれなくても描きはじめるんだから」。(ゲルハルト・リヒター)
したがって、絵画はコンセプチュアルアートやコンテンポラリーアートなどという小さい枠に収まらない。
引用は『増補版 ゲルハルト・リヒター 写真論/絵画論』(淡交社)より、リヒター1964〜65年のノート。